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 「仏式葬儀との違い」でご説明しましたように、導師(お坊さん)による「引導」が形式化されている現在では、その引導の代わりにご家族の「おまじない」の方が力があると思います。
 「あなたに逢えて幸せでした。安心してお眠り下さい」と故人の耳元でささやいて上げてくださいと書きましたが、他にもたくさんの「おまじない」があります。そのいくつかをご紹介しましょう。

 

 
  副葬品の入れ方
 
 奥さんと娘さん二人を残されて、癌で亡くなられたSさんの場合、葬式は親族の反対もありましたが、家族、親族だけの無宗教葬で弔いました。ご主人は、童謡が大好きで長い車での通勤のときにいつもご自身で録音された童謡のカセットテープを流していたそうです。
 式中にもその曲を流しましたが、出棺の際、奥さんがそのカセットテープを故人の足下に置こうとしましたが、「それではお父さんは、カセットテープがどこにいったか迷って心配になりますよ。耳元に置いて上げてください」と促すと、奥さんは「お父さん、良かったね。道中好きな音楽が聴けて。安全運転でお願いしますよ」と涙声で呼びかけていました。
 些細なことかも知れませんが、確実に奥さんの愛情はご主人に伝わったと思います。棺に入れる副葬品もただ入れるだけでは意味がありません。必要とするところに捧げましょう。そして、天国に往けるよう「おまじない」の言葉を一言かけてあげましょう。
葬式仏教から形式仏教へ
 合理主義と科学万能の学校教育を受け、何不自由もなく育ってきた現代のお坊さんに「あの世」や「魂」の存在を信じろといっても無理かも知れません。「あの世」より「この世」の方が、はるかに豊かに過ごせると信じているでしょうから。
 そのお坊さんが、果たして導師として故人に引導を渡せるのでしょうか。葬式仏教の伝統は、今や形式だけが残る仏教に成り果ててはいないでしょうか。
 しかし、科学で宗教を割り切ろうとしても、人間の心の奥底にある愛憎背反的な魂の揺れは、割り切れません。葬式仏教が形骸化していくとともに胡散臭い新興宗教が、先祖の霊の祟りを持ち出してくるのです。
 
   
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